「Google版AWS CLI」がついに来た
Google Drive のファイル一覧を取得したい。Gmail を自動処理したい。Calendar の予定をスクリプトから操作したい。
これまでこうした作業をするには、Google の REST API ドキュメントを読みながら curl を書き、認証まわりのコードを自前で用意する必要がありました。それを一発で解決する CLI ツール「gws」が登場し、X で48万インプレッションを超える注目を集めています。
gws は Drive・Gmail・Calendar・Sheets・Docs・Chat・Admin など、Google Workspace のほぼすべての API をコマンドラインから操作できるツールです。さらに MCP サーバーとして動作するため、Claude Desktop や Gemini CLI から直接 Google Workspace を操作することも可能です。
ただし、一点重要な注意があります。gws は googleworkspace という GitHub Organization から公開されていますが、Google の公式サポート対象外のコミュニティプロジェクトです。またまだ v1.0 前のため、ブレーキングチェンジが起こる可能性があります。プロダクション環境での利用は慎重に判断してください。
gwsの3つの革新的な特徴
① Discovery Serviceからコマンドを動的に生成
多くの CLI ツールはコマンドの一覧を静的に持っています。AWS CLI や gcloud のように、ライブラリのアップデートを待たないと新機能が使えません。
gws はまったく異なるアプローチを取っています。Google の Discovery Service(API メタデータを返す仕組み)を実行時に読み込み、コマンドをその場で動的に生成します。Google が新しい API エンドポイントを追加したら、gws のアップデートを待たずに翌日からそのコマンドが使えるようになります。
② 全レスポンスが構造化 JSON
すべてのコマンドの出力が構造化された JSON で返ってきます。これにより、jq でのフィルタリングやスクリプトへの組み込みが簡単になるだけでなく、AI エージェントがそのままパースして次のアクションを決定できます。
③ MCPサーバーとして動作
gws mcp コマンドを実行するだけで、MCP(Model Context Protocol)サーバーとして起動できます。Claude Desktop・Gemini CLI・VS Code など MCP 対応のクライアントから、Google Workspace の操作を AI に委ねることが可能になります。
インストールと初期設定
前提条件
- Node.js 18 以上
- Google Cloud プロジェクト(OAuth 認証情報の取得に必要)
- Google Workspace へのアクセス権を持つ Google アカウント
インストール
npm install -g @googleworkspace/clinpm パッケージには OS・アーキテクチャ別のプリビルドバイナリが同梱されているため、Rust のツールチェーンは不要です。
認証セットアップ
インストール後、以下の手順で認証を設定します。
# Google Cloud プロジェクトの設定を対話形式でセットアップ
gws auth setup
# OAuth ログイン(ブラウザが開いて認証画面が表示される)
gws auth logingws auth setup は Google Cloud Console でのプロジェクト作成・API 有効化の手順を対話形式でガイドしてくれます。初回は少し手間がかかりますが、一度設定すれば以降は gws auth login だけで済みます。
認証情報は AES-256 暗号化されてキーチェーンに保存されます。
基本コマンドの使い方
コマンドの構文は gws <サービス> <リソース> <アクション> という形式です。--help フラグで各コマンドのオプションを確認できます。
Drive:ファイル操作
# ファイル一覧を取得(最新5件)
gws drive files list --params '{"pageSize": 5}'
# ファイルを検索
gws drive files list --params '{"q": "name contains '\''議事録'\''"}'
# ファイルをダウンロード
gws drive files get --params '{"fileId": "YOUR_FILE_ID", "alt": "media"}'Gmail:メール操作
# 受信トレイのメール一覧を取得
gws gmail users messages list --params '{"userId": "me", "maxResults": 10}'
# 未読メールだけ取得
gws gmail users messages list --params '{"userId": "me", "q": "is:unread"}'
# メールの詳細を取得
gws gmail users messages get --params '{"userId": "me", "id": "MESSAGE_ID"}'Calendar:予定操作
# 今後の予定を取得
gws calendar events list --params '{"calendarId": "primary", "maxResults": 10, "orderBy": "startTime", "singleEvents": true, "timeMin": "2026-03-11T00:00:00Z"}'
# 予定を作成
gws calendar events insert --params '{"calendarId": "primary"}' --body '{"summary": "ミーティング", "start": {"dateTime": "2026-03-12T10:00:00+09:00"}, "end": {"dateTime": "2026-03-12T11:00:00+09:00"}}'すべての出力が JSON なので、jq と組み合わせれば柔軟なデータ加工ができます。
# タイトルだけ抽出
gws calendar events list --params '{"calendarId": "primary", "maxResults": 5, "singleEvents": true, "timeMin": "2026-03-11T00:00:00Z"}' | jq '[.items[].summary]'Claude DesktopからGoogle Workspaceを操作する(MCP連携)
gws の最大の特徴のひとつが MCP サーバーとして動作できる点です。設定することで Claude Desktop から自然言語で Google Workspace を操作できるようになります。
MCP サーバーの起動確認
# Drive のみ MCP サーバーとして起動
gws mcp -s drive
# 複数サービスを指定
gws mcp -s drive,gmail,calendar
# 全サービスを公開(ツール数が多くなるので注意)
gws mcp -s allClaude Desktop の設定
claude_desktop_config.json に以下を追加します。
{
"mcpServers": {
"google-workspace": {
"command": "gws",
"args": ["mcp", "-s", "drive,gmail,calendar"]
}
}
}設定後に Claude Desktop を再起動すると、「Drive のファイルを検索して」「今週の予定を教えて」「未読メールを要約して」といった自然言語での操作が可能になります。
Agent Skills の活用
gws のリポジトリには Gmail・Drive・Docs・Calendar・Sheets 向けに 100以上の Agent Skills(SKILL.md ファイル) が同梱されています。よく使うワークフローをまとめたレシピ集のようなものです。
Skills のインストール
# 全 Skills を一括インストール
npx skills add https://github.com/googleworkspace/cli
# 必要なものだけインストール
npx skills add https://github.com/googleworkspace/cli/tree/main/skills/gws-drive
npx skills add https://github.com/googleworkspace/cli/tree/main/skills/gws-gmailSkills には以下のようなレシピが含まれています。
- Gmail の未読メールを要約してスプレッドシートに書き込む
- Drive の特定フォルダを監視して新着ファイルを通知する
- Calendar の予定を元に日次レポートを Docs に作成する
- Sheets のデータを元に Gmail で一括送信する
Claude Code や Claude Desktop と組み合わせることで、これらのワークフローを自然言語の指示だけで実行できるようになります。
注意点:v1.0前のツールとして使う心構え
非常に魅力的なツールですが、現時点ではいくつかの注意点があります。
- Google 公式サポート外:
googleworkspaceorg から公開されていますが、公式にサポートされた製品ではありません - v1.0 未満:現在もアクティブに開発中で、ブレーキングチェンジが発生する可能性があります
- Google Cloud プロジェクトが必要:OAuth 認証情報の取得に GCP プロジェクトの作成が必要です。初期設定に少し手間がかかります
- スコープ管理に注意:
gws mcp -s allで全サービスを公開するとツール数が膨大になり、コンテキストを圧迫します。必要なサービスだけ指定することを推奨します
個人の自動化・検証用途であれば今すぐ試す価値があります。チーム・プロダクション環境への導入は v1.0 のリリースを待つか、十分な検証を経てから判断することをおすすめします。
まとめ
gws のポイントをおさらいします。
- Drive・Gmail・Calendar など Google Workspace 全体をひとつの CLI で操作できる
- Google Discovery Service からコマンドを動的生成するため、常に最新の API に対応
- 全出力が構造化 JSON で、AI エージェントとの相性が抜群
gws mcpで MCP サーバーとして起動し、Claude Desktop から自然言語で Workspace を操作可能npm install -g @googleworkspace/cliで一発インストール- Google 公式サポート外・v1.0 前のため、プロダクション利用は慎重に
「Google 版 AWS CLI」とも呼ばれるこのツール、AI エージェントと Google Workspace を繋ぐ架け橋として今後の発展が楽しみです。まずは個人の自動化用途で試してみてください。
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gws を使いこなしたら、AI エージェントと開発ツールの連携をさらに広げていきましょう:
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